「相手を知るための質問力①」に引き続き、質問の種類を紹介します。今回はちょこっとだけ支援者向けです。
カウンセラーは限られた面談時間の中で、クライエントから問題解決の為に必要な情報を引き出すスキルが求められ、状況に合わせた質問を効果的に使い分けています。
代表的な質問の種類は
①クローズドクエスチョン
②オープンクエスチョン
③スケーリングクエスチョン
④肯定する質問
⑤否定する質問
⑥未来への質問
⑦過去への質問
⑧例外探しの質問
⑨コーピング・クエスチョン
⑩リフレーミング
⑪ストレングス思考
それぞれの質問の特徴を活かして、上手に組み合わせることで質問力が高まり、相手が話したい内容を引き出します。
「子どもがゲームに夢中で宿題をしなくて困っています」とお母さんから相談を受けた設定で④と⑤を説明します。
④肯定する質問…「どうしたら?」などポジティブに考える質問
「どうしたらお子さんは宿題ができますか?」では「それがわからないから相談しています」と言われてしまいます。まず「お母さんはお子さんが宿題をしなくて困っているのですね。」「お子さんはゲームに夢中になっているんですね」と「誰が何をしている」を明確にしながら受容と確認をします。そして
「お母さんはどうしたら(どのような状態になったら)お子さんを褒めてあげられますか?」
「お母さんがどのような声掛けをしたら宿題ができそうですか?」
「お母さんはどうしたら(どのような状態になったら)お子さんに80点をあげられますか?」←スケーリングクエスチョンとの組み合わせ
と質問をします。主語は相談者(困っている人)で行動するのも相談者です。(このケースではお母さん)
「家に帰ってきてすぐに宿題をしたら100点あげます。」「ゲームの時間を守れたら褒めます」と返答があったら、「実際にできそうですか?」「続けられそうですか?」とクローズド・クエスチョンで意志を確認します。
⑤否定する質問…「どうして?」「わからない?」「できない?」などネガティブになりやすい質問
「どうしてお子さんは宿題ができないんですか?」「どうしてお母さんは宿題の見守りができないんですか?」と曖昧な原因追及をされると責められている気持ちになります。
否定的な質問は
「どうして宿題が出来なくなったんですか?」(きっかけは?)(いつから?)
「夕方は忙しくて宿題の見守りはできないですか?」(相手の状況は?)
「きっかけ」「期間」「相手の状況」など具体的な原因を特定する時に使います。
「ゲームの時間を守るために出来ることはありますか?」「宿題の見守りの代わりに出来そうなことありますか?」など「〇〇するために〇〇できますか?」「〇〇の代わりに〇〇できますか?」と肯定的な質問に言い換えもできます。
今回は「肯定的な質問」「否定的な質問」を紹介しました。質問をする上で「相手のために質問をする」という心意気がとても大切です。
質問をされた人には「答えなければならない」と、頭と心の負担がかかります。相手が感じている負担を表情や沈黙の間、声色などから読み取って相手の状態に合わせた質問をする、相手への敬意や配慮も重要な質問のスキルになります。
相手を知るための質問力⑥~⑪も随時紹介していきます。