「相手を知るための質問力②」に引き続き、質問の種類を紹介します。
相手を知るための質問力①では「クローズドクエスチョン」「オープンクエスチョン」「スケーリングクエスチョン」
相手を知るための質問力②では「肯定する質問」「否定する質問」を紹介しました。
カウンセラーは限られた面談時間の中で、クライエントから問題解決の為に必要な情報を引き出すスキルが求められ、状況に合わせた質問を効果的に使い分けています。
代表的な質問の種類は
①クローズドクエスチョン
②オープンクエスチョン
③スケーリングクエスチョン
④肯定する質問
⑤否定する質問
⑥未来への質問
⑦過去への質問
⑧例外探しの質問
⑨コーピング・クエスチョン
⑩リフレーミング
⑪ストレングス思考
それぞれの質問の特徴を活かして、上手に組み合わせることで質問力が高まり、相手が話したい内容を引き出します。
今回は、後輩Aから以下の相談を受けたという設定で「未来への質問」「過去への質問」を説明します。
『職場の人間関係が悪いので退職したい』
未来質問…「これからどうしたいですか?」など将来に向けた質問
「退職したい」と言う後輩にいきなり「退職してこれからどうしたいの?」と質問したら…。叱咤激励とも受け取れますが、なんだか見捨てられたような気持ちになります。
「そっか~。Aさんは職場の人間関係が悪いから退職したいと思っているんだね…。」
まずは受容と共感です。否定せずに最後まで話を傾聴します。傾聴、受容、共感は相手を知るための基本スキルなので、いつでも心掛けてください。
後輩Aが話しにくそうな場合は「Aさんは職場の〇〇さんがちょっと苦手かな?」「きつい言い方をする人が苦手なの?」などクローズドクエスチョン(はい・いいえで答えられる質問)を使って事実や気持ちを確認します。
後輩Aが溢れ出る感情を話し続ける場合は「いつのことかな?」「誰が言ったの?」「実際にどういうことがあったの?」「何故そうなったの?」などと5W1Hのオープンクエスチョンで事実を確認します。
後輩Aの感情を受容・共感し、事実確認ができたら
「そっか~。入力を間違えたのはAさんじゃないのに、誤解されて〇〇さんに叱られたんだね。」
「それで理不尽だと思ってるんだね。〇〇さんは怖くて話を聞いてくれないだろうし、今後もこういうことがあったら嫌だから退職したいんだね。」とオーム返しをします。
ここでアドバイスしたくなりますが、グッと我慢して
「そっか~。よくわかったよ。」
「それでこれからどうしたいの?本当は辞めたくない?」→クローズドクエスチョンとの組み合わせ
「退職するとしたら、これからどうしたい?」
「会社を辞めずに続けるなら、これからどうしたい?」
と後輩Aの気持ちを引き出します。
過去質問…「今まではどうでしたか?」など振り返る質問
「〇〇さんに誤解された時に、何故説明しなかったの?」と過去の出来事に対して「何故?どうして?」と質問すると相手のネガティブな気持ちを引き起こします。また、過去のネガティブな感情を深堀りする質問は相手の心理的負担が大きいので安易に使わないようにしてください。(環境設定と専門性が必要です。)
「今まで入力業務をどんな気持ちで頑張ってきたの?」
「過去の理不尽な思いはどうやって乗り越えたの?」
と「今まで頑張ってきたこと」「過去に成功したこと」に焦点をあて、後輩Aの自己肯定感を高めます。
今回は「未来質問」「過去質問」についてお話しました。
相談支援で大切なのは、傾聴と質問を使って事実と相手の感情を分けることです。この傾聴と質問のバランス感覚が支援者のスキル向上を握るカギになります。客観的な事実を相手はどう受け止めているのか?を引き出すことで、適切な助言ができるようになります。
「相手の為に質問する」「傾聴」「受容と共感」は最低条件です。
質問の組み合わせは、支援者にもキャラクター(個性)がありますので、自分の得意なバランスを探してみてくださいね。まずは出来ることから積み上げていければ良いと思います。
相手を知るための質問力⑧~⑪も随時紹介していきます。